パンの保存〜冷蔵
パンの保存について、一般的には「冷蔵」はしないほうがよいと言われています。その理由は2つあり、一つは乾燥、そしてもう一つは臭いです。乾燥して固くなり、冷蔵庫臭のついたパンは、食感も味や風味も劣ります。
一方、「冷凍」は良しとされていて、「常温よりもちょっと長め」の保存でも、冷蔵ではなく冷凍してしまった方がよいと言われています。
ただ結論から言いますと、私は必要に応じて「野菜室」にパンを入れます。「冷蔵室」に比べて温度が高いため冷えすぎず、冬の常温とも言えます。野菜室は冷蔵室に比べて乾燥しにくく、臭いもつきにくいという印象です。
一般的には「常温ではないなら冷凍」がおすすめされますが、冷凍庫は何かと混み合いがちですし、日常生活の中では手軽さも必要ですから、邪道ではありますが「冷凍するほどではないけれど常温では心配…」という時に野菜室を活用しています。
どのような時に野菜室に入れるかというと、「湿度が高い時のカビ防止」「室温が高い時の劣化防止」「惣菜パンの傷み防止」です。
次に、それぞれについて詳しく述べます。焼いた日を基準に「1日目」「今日」としていますので、例えば「3日」は「3日目」であり「翌々日」「明後日」となります。
「湿度が高い時のカビ防止」
あこ酵母に限らず天然酵母のパンは全般的に、イーストのパンに比べてカビが生えにくいですし、乾燥したり味や風味が落ちたりといった劣化もしにくいです。焼き立ては別格の楽しみがありますが、ほとんどの天然酵母パンは焼き立てが一番おいしいわけではありません。いつ頃がおいしいというのはパンの種類にもよるので一概には言えませんが、いずれにしても「焼きたてがベストで冷めると味が落ちる…」ということはありません。常温に置いて、徐々に味が落ち着いて変化し、馴染んでいくのを待つのが醍醐味です。
イーストのパンに比べてカビが生えにくい天然酵母パンですが、湿度が高い梅雨時は他の時期に比べるとカビが生えやすいです。パンの種類によってカビの生えやすさは違いますが、3日でカビが生えたこともあります。つまり、今日焼いたパンを常温に置くと明後日にはかびてしまうかもしれないのです。これは梅雨時以外はまず無いことです。湿度というのはカビの発生に大きく影響するのですね。
ですから梅雨時は、焼いた翌日に食べる分は常温で保存しますが、3日目に食べる分は野菜室に入れるようにしています。
「室温が高い時の劣化防止」
天然酵母パンと言えども梅雨時はカビが生えやすいですが、30度を超える真夏の常温に置いたからと言ってそう簡単にカビが生えることはありません。これは、ここ数年のように35度前後が連日続くようになる少し前の、「夏は30度を超えるのが当たり前で、たいてい32〜33度が日常になった」という頃に試したことですが、「初回レッスンの白パン」と「ごはんパン」を常温で5日保存してもカビは生えず、一応食べ物としてちゃんと食べることができました。しかし、味は落ちていました。まずいというほどではないのですが、味わいがなくおいしさに欠けるのです。そしてビニールの臭いも結構気になります。また、真夏以外でも多くのパンは、5日経つと同じように味が劣化してビニール臭が気になるのですが、真夏は3〜4日でそのように感じます。(ただし、パンの種類によっては真夏以外で1週間位が美味しいものもあります。)
いずれにしても、室温が高いと劣化が早まるようですから、カビが生えて食べられないというわけではないけれど、味が落ちてしまうのを防ぐのに野菜室はとても役立ちます。30度を超える時期には、焼いた翌日に食べる分は常温で保存しますが、3日目に食べる分は野菜室に入れるようにしています。
「惣菜パンの傷み防止」
パン生地自体はカビが生えにくいですが、それ以外の素材が加わる惣菜パンは条件が変わってきます。他に、「あんパン」「抹茶黒豆パン」「生りんごのパン」も同じ扱いです。これらは、梅雨時や真夏でなくても野菜室に入れます。場合によっては、冷蔵室の方に入れることもあります。
パンの種類や季節によって、「翌日分は常温で、3日目の分は野菜室に入れる」か「翌日分から野菜室に入れる」かを決めています。レッスンで作る「惣菜パン」は、梅雨時と真夏は翌日分から野菜室に入れますが、それ以外の時期は、翌日分は常温で3日目の分は野菜室に入れています。
さて、最後に野菜室に入れる時のおすすめの方法を伝えします。それは、ビニール袋を2重にすることです。内側のビニールはできるだけパンに沿うようにし、外側のビニールは少し大きめのものをややふんわりと包んでいます。(外側もぴっちり沿わせると違うのかどうかは試していませんが…。)外側のビニールには冷蔵庫臭がついていますが内側はそれほどでもないので、臭い防止になっていると思われます。厳密に試してはいませんが、もしかしたら乾燥も少し防いでくれているのではと期待しています。
以上が、私の「野菜室の活用」についてのお話です。日数については、お家がある場所の風土や屋内環境等によっても変わるため、絶対的な数字ではありませんのでご参考程度になさって下さい。
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